いつかマチソワ後の退勤道で

どえりゃあ、お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。

この猛暑とマスク生活とコロナの猛威の中で、皆様体調や心に不調をきたしておりませんでしょうか。

私は、結局この夏もどこにも行けずおわりそうですし、それなのになんで国跨いだ体育大会やってるのかマジで理解ができない中で、推しの存在に支えられ一生懸命生きていたそんな半年でした。

TOPIK試験を受けた帰りに食べたチャンポンが白いTシャツにはねて、そのまま人生初イソップで買い物をしたことに帰ってから気づいて赤面した、そんな半年でした

もっと威嚇力のある人間になりたいと、ツーブロックのショートヘアにして人生初ピアスを開けてみた、そんな半年でした。

最推しであるキムソンギュさんのドラマ出演や広告モデルも決まったりと、推しも一生懸命仕事をしてくれていて、ついついカフェ車サポート代を貢いでしまった、そんな半年でした。

そして、新しい沼地に片足を突っ込んだ、そんな半年でした。

新しい沼地…タイトルで察した方もいらっしゃるかも知れません。そう、このコロナ禍において、観劇沼に片足を突っ込んだのです…。

 

それは緊急事態宣言が出るか出ないかの瀬戸際の今年の5月。

私はとんでもなく久しぶりに劇場に足を運んでいました。ミュージカル「スリル・ミー」を見るためです。

偶然みたチラシでスリル・ミーに俳優の成河さんが出演していることを知り、しかも私の地元で公演を行うと知ってこれは見ずにはいられないとチケットを即購入。

成河さんにはNHKで放送された演劇「タージマハルの衛兵」*1にて心奪われ…いや抉られてからというもの、是非とも一度生で演技を拝見したかったのです。

しかも、スリル・ミーはローブ&レオポルド事件という少年誘拐殺人事件をモチーフにした作品で、同じ事件を題材にしたヒッチコックの「ロープ」が個人的にとても好みだったので、俄然興味が湧きました。

スリル・ミーのストーリーについては詳しく書きませんが、19歳だった「私」と「彼」が事件を起こすまでの過程や二人の歪になりゆく関係性、噛み合わない思いを演者二人とピアノ一台の演奏で繰り広げるミュージカルです。私が見た回では「私」役が成河さん、「彼」役が福士誠治さんでした。

ミュージカル『スリル・ミー』成河 × 福士誠治 - YouTube

成河さん演じる「私」が舞台に上がってきた瞬間を今でも忘れられません。

重苦しい空気を纏い、小さく背中を丸め、低く落ち着いた声で彼が「何を知りたい?」と言った瞬間の底知れぬ怖さ、見えない真意、怪しさ。

場面は50代になった「私」の仮釈放審議を行うところから始まるのですが、審議員もそして観客すらも飲み込むようなそんな凄みがありました。

初っ端からずいっと舞台に引き込まれ、そのまま福士さん演じる「彼」の哀れさやどんどん踏み外れてゆく道と変化していく二人の関係に目を見開いたままあっという間の100分が過ぎ去ってしまいました。

スリル・ミーの感想は書き出すととんでもなく長くなってしまうので、今回はここら辺にして…

 

昔は帝劇好きの姉と一緒にレミゼミス・サイゴンを複数回見にいく程度にはミュージカルは見ていたり、学生時代は演劇部・サークルに所属していたこともあり演劇というものは大好きなのですが、なんとなく社会人になって地元に戻ってきてからは、観賞する機会も少なくなり、離れてしまっていたのでした。

だからミュージカルといえば、大人数・オーケストラ・大団円みたいなイメージしかなくて、スリル・ミーのような小劇場ミュージカルの存在を知りませんでした。なんともったいなかったのだろう…。そしてミュージカルといえば、音楽。音楽によって心通わせる展開が多いですが、スリル・ミーは逆に、二人の間にある断絶を音楽によって浮き彫りにするかのような印象があって、とても驚きました。そうか、音楽だから伝わる、だけではないのか。と。

改めて演劇の面白さに、そして新しいミュージカルの魅力に気づいてしまったオタクはもう止まりません。

 

観劇から生還した後、私は放心状態でスリル・ミーの動画を漁っていました。ネット通販で購入したグッズの「私」&「彼」のアクスタを自室のオタク祭壇に祀り、電子パンフレットを読んではため息をつき、過去の公演のプロモーション・公開稽古…短い動画を繰り返し見ては、観劇の記憶を噛み締める生活…。

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祭壇・ミー

 

そんな中で、関連動画欄に韓国のスリル・ミーの動画があることに気づきます。韓国でも上演されてるのか!とクリックしてみてみるとそこには、

[더뮤지컬] 스테이지_뮤지컬 '쓰릴 미' 2017 공연 중에서 `My Glasses&Just Lay Low`-최재웅, 김무열 - YouTube

映画「悪人伝」で最推しキムソンギュさんと共演した俳優・キムムヨルさんとドラマ「秘密の森」でめちゃくちゃ好きだったゴン刑事役のチェジェウンさんが!!!!

えっ??えっ??この二人、スリルミー…して…たの??????(後で調べるとこのお二人は、韓国スリル・ミー初演時の伝説ペアだったそうです。)

戸惑う私をよそに、お二人は圧倒的歌唱力でバチバチにデュエットを繰り広げます。しかも韓国語分からなくても、既に日本語で劇を見ているから内容もわかる。あっあっあのシーン!!と理解ができてしまうからさらに引きずり込まれてしまう。そうこうしているうちに、あれ、これはまた違うペアだな?これも見てみよう、あれ?これはさっきの俳優さんの別の舞台の映像だ、見てみよう…あっ待ってくれ、私は韓国映画で手一杯なんだ、韓国ミュージカルまで沼ってしまったら、ああ。

 

…戻りたいと思っていても 戻れなくて あまりに遠くまで来てしまった(「戻れない道」ミュージカル「スリル・ミー」より)

 

韓国は撮影OKなスペシャルカーテンコールというものがあるらしく、ファンの方々がYOUTUBEなどにあげてくださっていて、部分的ではありますがミュージカルの雰囲気を知ることができます。だからもう関連動画再生が止まらないわけです。これは罠です。(ありがたい罠です)

しかも、Twitterでこれ気になるなあみたいなことを呟くと、マシュマロで韓ミュ沼の先人からおすすめ動画やアドバイスが飛んでくるんです。人知れず私を沼へ引き摺り込む匿名のその方を私は勝手に(韓国のミュージカル「女神様がみている」になぞらえ)女神様をお呼びしています。女神様、ありがとうございます。あなたのおかげて私は今、この沼地に笑顔で沈んでいます。여신님 나 보여요???

 

そんなこんなで、スリル・ミーを切り口にどんどんと韓国ミュージカルに引き込まれて今に至っております。

最推しキムソンギュさんがもともと舞台演劇をされていた人なので、韓国の演劇の聖地「大学路(テハンノ)」は聞いたことがありましたが、これまで多彩で質の高い小劇場ミュージカルが毎日のように上演されていることは知りませんでした。「女神様がみている」、「スモーク」、「レッドブック」、「トレイスユー」、「ママドントクライ」、「ワイルドグレイ」…調べれば調べるほど、テイストもさまざまで気になる演目が増えていきます。スリル・ミーのようなブロードウェイ発のライセンス作品もありますが、韓国オリジナルのミュージカルも数多く、こんなにレベルの高いミュージカルが自国内で作られている韓国の演劇界が羨ましくもなりました。

また、ありがたいことに、ミュージカルを配信上演してくれることも多く、日本からも観覧可能なので、7月には4本見てしまいました…。*2このコロナ禍、渡韓は叶いませんがこうやって韓国ミュージカルに触れることができて本当に嬉しいですし、今は予習期間でいつかは現地で見るんだ!と前向きな気持ちにもなれます。

まあ、韓国語の勉強マジで頑張らないとセリフまでは聞き取れないので、真面目にTOPIKの方も勉強していきます…次は10月に受ける予定なんですけど…アハハ(真っ白なテキスト)

 

え?日本の演劇にはハマらなかったのかって??

いやあ、成河さんという俳優は本当に恐ろしいですね。メルマガ登録しました。8月はこんな状況下で泣く泣くチケットをお譲りしましたが、9月の舞台のチケットも買いました。もう戻れません。新しい沼地に片足をつっこんだと冒頭申し上げましたが、韓国ミュージカル沼と日本の観劇沼に片足ずつなのでもう身動きできません。ガハハ。

オタク、たっのしー

 

그럼 여러분 어덕행덕 하세요💪

안녕!

 

 

 

 

 

*1:2019年に新国立劇場にて上演。タージマハル建設中のインド・アグラを舞台にした二人芝居。傑作なので機会があったらぜひ見てみてください。成河さんは、生真面目で規律第一なフマーユーン役でした。

*2:ブラックメリーポピンズ、女神様が見ている、光化門恋歌(プレスコール)、最後の事件、1ヶ月の間でここまで観劇したのは初めででした。